開催要項
名称 | 第22回技術講演会 |
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開催日時 | 2025年7月24日(木) 【講演会】13:00 ~ 16:30(受付開始 12:00 ~) 【交流会】17:00 ~ |
2025年7月25日(金) 【講演会】9:30 ~ 16:40(受付開始 9:00 ~) |
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主催 | 新製剤技術とエンジニアリングを考える会 |
会場 | 湘南ヘルスイノベーションパーク(略称:湘南アイパーク) 講堂 〒251-8555 神奈川県藤沢市村岡東二丁目26番地の1 https://www.shonan-ipark.com/ 来場には公共交通機関をご利用ください。 最寄り駅の大船駅・藤沢駅からのアクセス(バス時刻表等)はこちらをご確認ください。 |
開催形式 | 現地参加とオンライン参加のハイブリッド方式 |
協賛 | (公社)日本薬学会 (公社)日本薬剤学会 (一社)日本粉体工業技術協会 (一社)粉体工学会 日本DDS学会 (一社)製剤機械技術学会 ISPE日本本部 (一社)日本PDA製薬学会 |
ご挨拶
医薬品業界は今、未曾有の変革期を迎えております。新たな技術革新や規制の変化、さらにはグローバルな供給網の課題など、私たちが直面する問題は多岐にわたります。特に近年、品質管理の厳格化やサプライチェーンの逼迫、さらには人材不足といった課題が顕在化している一方、AI技術を活用した製剤開発も研究されており、業界全体での知見の討議と共有、様々な協力・協業が不可欠となっております。
本会では、こうした昨今の医薬品を取り巻く様々なテーマに対し、多方面の専門家からのご講演と討論を予定しております。国内のみならず、海外からも第一線で活躍する講師をお招きし、世界の最新動向を直接学ぶ貴重な機会となります。また、対面とオンラインのハイブリッド形式を採用し、皆様がそれぞれの環境に応じて参加しやすい形で学びを深めていただけるよう工夫いたしました。
また、医薬業界の継続的発展を推進すべく世界で活躍できる技術者創出のために設立された、「(一財)新製剤技術とエンジニアリング振興基金」による、「パーティクルデザイン賞受賞講演」「海外留学研究助成金目録贈呈式」、さらに若手研究者育成事業として若手研究者の本講演会への招待とポスター発表も行いたいと考えております。
業界の発展には、私たち一人ひとりの知識の向上と連携が不可欠です。本会が、皆様にとって新たな視点を得る場となり、明日への一歩を踏み出す契機となることを心より願っております。
多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
主催 『新製剤技術とエンジニアリングを考える会』会長 竹内 洋文
共催 株式会社パウレック 代表取締役社長 長谷川 浩司
プログラム
2025年7月24日(木)
13:00~13:10
『開会の挨拶』
新製剤技術とエンジニアリングを考える会 会長
竹内 洋文
岐阜薬科大学 名誉教授、特命教授、先進製薬プロセス工学研究室 特任教授
13:10~13:30
一般財団法人 新製剤技術とエンジニアリング振興基金
「パーティクルデザイン賞」授賞式 および「海外留学研究助成金」目録贈呈式
13:30~14:10 <座長> 竹内 洋文(岐阜薬科大学)
一般財団法人 新製剤技術とエンジニアリング振興基金
第12回パーティクルデザイン賞 受賞記念講演
『先進デジタル技術が拓く次世代CMC研究の展望』

田邉 修一
第一三共株式会社 テクノロジー本部 テクノロジー開発統括部 技術開発マネジメント部 技術インテリジェンスグループ アソシエイトディレクター
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アブストラクト
CMC研究は、先進デジタル技術の台頭により転換点を迎えている。本講演では、初めに製剤開発分野におけるデータ駆動型アプローチの実践事例を紹介し、現時点でのDX実装状況とその効果について論じる。更に、AI技術による解析、予測と創造的提案、ロボティクスを活用したデータ取得の自動化等、先進デジタル技術との融合によるCMC研究の将来像を示し、これらの統合的アプローチの実装への道筋を考察する。
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略歴
2010年3月、千葉大学大学院薬学研究院修了。同年、第一三共株式会社に入社、主に低分子医薬品の製剤研究に従事。2015年から2017年の間Daiichi Sankyo Europe GmbHに出向。2019年Christian-Albrechts-Universität zu Kielにて博士号(Dr. rer. nat.)取得。2020年より製剤研究と並行してCMC研究のDX推進を担当。2024年4月より現職。
2015年、「Enhanced QbDを適用した製剤開発の実現」にて製剤機械技術学会仲井賞を受賞。2019年、「連続生産を考慮した固形製剤製造プロセスの経済性評価」にて化学工学会第84年会 SIS部会技術賞を受賞、2022年、「統計解析、多変量解析、及びシミュレーションに基づく実用的な工程モデルの医薬品製造工程開発への適用」にて化学工学会技術奨励賞を受賞。
14:10~14:50 <座長> 米持 悦生(国際医療福祉大学)
『薬機法改正と医薬品の品質確保の課題について』

佐藤 大作
厚生労働省 大臣官房 審議官(医薬担当)
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アブストラクト
近日公開予定
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略歴
東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了 博士(薬学)
平成4年4月 厚生省入省。
厚生労働省医薬食品局安全対策課安全使用推進室長、同監視指導・麻薬対策課監視指導室長、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)新薬審査第五部長を経て平成26年4月から同機構再生医療製品等審査部長。
平成28年6月から厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長、平成30年8月からPMDA組織運営マネジメント役、令和3年9月から医薬・生活衛生局(令和5年9月から医薬局に改組)監視指導・麻薬対策課長。
令和6年7月から現職
14:50~15:10
Coffee Break (20 分)
15:10~15:50 <座長> 野沢 健児(沢井製薬株式会社)
『経口固形製剤の連携による開発と市場展開~デジタル技術との融合~/Coordinated development and market production of solid oral dosage forms; integrating digital technologies』

Martin Maus
Principal Scientist, Pharmaceutical Development NCE, Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & CO KG
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アブストラクト
経口固形製剤(SOD)は、世界中で最も需要の高い剤形のひとつある。多くの製薬企業にとってSODの開発は一般的な業務であり、ベーリンガーインゲルハイムも患者のニーズと製造ネットワークの能力を重視している。当社の各拠点における主要なプロセスと製造規模は開発段階で十分に認識されており、これらを基に固形製剤のプロセスを構築している。このアプローチにより、CMC(化学・製造・管理)申請および上市準備が整うだけでなく、日本を含む商業生産拠点への迅速な技術移転が可能となる。
コスト効率を維持するため、近年では難溶解性の新規化学物質(NCE)を既存の設備で製造する取り組みが進められている。また、SODの後期開発におけるデジタルツールの活用により、実験の負担や時間を削減しつつ、許容可能なリスクレベルでの管理が可能となるなど、新たな可能性が生まれている。 -
略歴
ドイツ・ビーベラッハにあるベーリンガーインゲルハイムの固形製剤プロセス開発部門責任者。
薬剤師であり、固形製剤のプロセス開発を専門としている。
テュービンゲン大学で薬学を学び、製剤技術の博士号を取得。
2007年にベーリンガーインゲルハイムに入社し、品質管理部門にてキャリアを開始。その後、確立された固形製剤のプロセス最適化およびバリデーションにおける責任を早期に担い、グローバル市場への供給に従事。日本市場向けとしては、Persantineカプセルを山形工場経由で供給した。
2013年に製剤の後期開発部門へ異動し、以来、ベーリンガーインゲルハイムにおける連続生産の導入や複数のデジタルツールの適用を推進している。
15:50~16:30 <座長> 野沢 健児(沢井製薬株式会社)
『後発医薬品の安定供給等の実現に向けて』

川俣 知己
日新製薬株式会社 代表取締役社長、日本ジェネリック製薬協会 会長
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アブストラクト
後発医薬品企業の法令違反を発端とした、医薬品の供給不安に対して、日本ジェネリック製薬協会の新たな取組みについて紹介する。医薬品企業における不正の再発防止には、クオリティーカルチャーの醸成が不可欠である。品質委員会に教育研修部会を立ち上げ、これまでの規則やルールの教育にとどまらない教育システムを共有する。また、供給不安に対応すべく、安定供給責任者会議を構成し、会員企業の安定供給の取り組みを促進する。更に、持続可能な産業構造を模索するために組織として、産業構造あり方研究会を設置することとした。今回は、これらの内容について詳しく紹介する。
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略歴
1982年 日本大学理工学部 薬学科 卒業
1982年 日新製薬株式会社 入社
2007年 日本ジェネリック製薬協会品質委員会委員長
日本製薬団体連合会品質委員会副委員長
2014年 日本製薬団体連合会 薬局方委員会 委員長
2017年 日新製薬株式会社 代表取締役社長
2024年 日本ジェネリック製薬協会 会長
17:00~19:00
交流会(同会場)
2025年7月25日(金)
09:30~10:10 <座長> 池松 康之(エーザイ株式会社)
『ニトロソアミン類の混入リスクに関するこれまでの対応と最新動向について』

中矢 雄太
厚生労働省 医薬局監視指導・麻薬対策課 課長補佐
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アブストラクト
近年、国内外において、サルタン系医薬品、ラニチジン、ニザチジン及びメトホルミン等から、発がん物質であるニトロソアミン類が検出され、一部の製品が自主回収されている。本講演ではニトロソアミン類の検出事例とその対応、自主点検の取り扱い等の最新動向について解説する。
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略歴
2008年 厚生労働省入省 医薬食品局総務課
内閣官房参事官補佐、厚生労働省医政局総務課専門官、医薬・生活衛生局食品基準審査課課長補佐、環境省環境保健部室長補佐等を経て、2024年7月より現職
10:10~10:50 <座長> 寺田 勝英(高崎健康福祉大学)
『本邦における小児医薬品開発の現状および今後の開発促進に向けて』

香西 麻里子
日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会
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アブストラクト
2023年度に開催された「創薬力の強化・安定供給の確保等ための薬事規制のあり方に関する検討会」における小児用医薬品開発促進のための議論を受け、2024年、成人を対象とした医薬品の開発期間中に小児用医薬品の開発計画を策定することを推奨する通知が発出された。さらに2025年度の薬機法改正では小児用医薬品開発計画の策定が努力義務として明示される見込みであり、小児用医薬品開発を取り巻く環境は大きく変化している。本講演では、本邦における近年の小児用医薬品開発の状況と国内外の開発促進に関する内容を紹介する。
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略歴
ファイザーR&D合同会社 薬事統括部 開発薬事第二グループ 担当マネージャー
2000年にファイザー製薬株式会社入社、臨床開発部門(現 ファイザーR&D合同会社)に配属、臨床試験のモニタリング業務を担当。2005年から薬事統括部に所属し、主に新薬開発・承認申請の開発薬事業務に従事、現在に至る。
2020年から日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会 小児医薬品開発タスクフォースに参加、2023年よりタスクフォースリーダーとして活動中。
10:50~11:10
Coffee Break (20 分)
11:10~11:50 <座長> 小島 宏行(アステラス製薬株式会社)
『ミニ口腔内崩壊錠:小児や特別な患者に寄り添う革新的製剤技術
/Mini Orodispersible Tablets: an Innovative Dosage Form Tailored to Meet the Needs of Children and Special Populations』

Emily Sheppard
Head of Product Development, Research and Development, Proveca, Ltd
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アブストラクト
ミニ口腔内崩壊錠(Mini ODT)は、直径2~3mmという小型サイズと速やかな崩壊特性を兼ね備えた革新的な剤形である。これらの特長により、既存の製剤と比較して小児患者の服薬コンプライアンスが向上し、より利便性の高い投与が可能となる。
Proveca社は、2010年に設立された欧州拠点の小児用医薬品企業であり、小児のアンメットメディカルニーズに対応する医薬品の開発および承認取得を専門とし、グローバルに事業を展開している。臨床医、保護者、介護者、そして子どもたちと協働する中で、小児の特性に適した承認済み医薬品の提供に取り組んできた。
当社は、2023年にEUおよび英国で承認を取得した低用量ACE阻害薬を開発し、直接経口投与が可能で口腔内で迅速に崩壊する製剤として上市した。さらに、現在複数のODT製品が後期開発段階にあり、今後も本製剤の世界的な普及に向けた取り組みを進めていく。本講演では、当社の開発経験を共有し、ODTのさらなる可能性を探る。 -
略歴
Emily Sheppard氏はProveca社(欧州拠点の小児用医薬品企業)にて製品開発部門の責任者で、科学者チームおよび外部開発パートナーを率い、製品開発を主導している。
同氏はマンチェスター大学(英国)で化学の学士号および産業薬学の修士号を取得した。
製薬業界において20年の経験を有し、Sanofi AventisおよびTeva Pharmaceuticalsにて、分析開発、無菌製造、新製品導入、プロセス開発、プロセスバリデーション、製品申請業務など、多岐にわたる分野での職務を歴任してきた。
現在は、小児向けに特化した製品群の開発を担当しており、その一環として、欧州医薬品庁(EMA)および英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)により承認されたミニ口腔内崩壊錠(mini orodispersible tablet)の開発を手掛ける。本講演では、この製剤を中心に取り上げる予定である。
11:50~12:30 <座長> 福田 誠人(スペラファーマ株式会社)
『タケキャブ錠のライフサイクルマネジメント戦略』

藤井 博之
武田薬品工業株式会社
ファーマシューティカル・サイエンス ドラッグプロダクトアンドデバイス・デベロップメント ジャパン 主任研究員
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アブストラクト
ボノプラザンフマル酸塩(タケキャブ錠)は当社が創製したカリウムイオン競合型アシッドブロッカーとも呼ばれるカテゴリーのプロトンポンプ阻害薬である。2015年3月の発売以来、利便性の改善、識別性の改善、さらに剤型追加を行い、患者や医療従事者のニーズに応えるべく、プロダクトライフサイクルマネジメントに積極的に取り組んできた。本講演では、キャブピリン配合錠およびタケキャブOD錠の製剤設計について紹介する。
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略歴
2010年3月 大阪府立大学大学院工学研究科、物質化学系専攻化学工学分野、博士前期課程修了
同年4月 武田薬品工業株式会社に入社。CMC研究センター、製剤技術研究所、経口剤設計担当に配属。
2018年10月 ファーマシューティカル・サイエンス、ドラッグプロダクトデベロップメント 主任研究員
2020年3月 大阪府立大学大学院工学研究科、物質化学系専攻化学工学分野、博士後期(社会人)課程修了。工学博士。現在に至る2024年度 日本薬剤学会 旭化成創剤開発技術賞を受賞。
12:30~13:30
Lunch Time (60 分)
13:30~14:10 <座長> 丹羽 雅裕(武田薬品工業株式会社)
『生成AIによるCMC開発の進化:活用トレンドと今後の展望』

寺邊 正大
中外製薬株式会社 製薬技術本部 分析研究部 製薬デジタル技術プロフェッショナル
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アブストラクト
2021年末のChatGPTの登場以降、生成AIの活用は急速に拡大し、その後も性能向上とサービス展開が進んでいる。生成AIは特定領域やタスクに限らず汎用的に利用可能で、CMC開発ビジネスでも様々な場面で活用されはじめている。本講演では、生成AIの技術とサービスのトレンドを概説し、CMC開発における主な利用シーンを具体例とともに紹介する。最後に、今後の展望と活用を進める上で想定される課題について述べる。
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略歴
1995年3月京都大学大学院工学研究科修了。同年4月、(株)三菱総合研究所入社。主に製造業、エネルギー分野を対象としたデータサイエンス・AI活用に関するコンサルティング、開発業務に従事。2019年1月 中外製薬(株)入社。製薬機能のデータサイエンティストという立場から、高度解析による課題解決や技術開発、およびデジタル人財育成・教育などを担当。現在、分析研究部・デジタルサイエンスグループ所属。博士(工学)。
14:10~14:50 <座長> 竹内 洋文(岐阜薬科大学)
『エーザイにおける連続生産技術を用いた新薬2製品上市の道のり』
(第12回パーティクルデザイン賞 受賞記念講演)

小川 真裕
エーザイ株式会社 DHBL PST ファンクション 製剤研究部 経口製剤グループ 主幹研究員
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アブストラクト
タズベリク錠及びタスフィゴ錠の2製品において連続生産技術を実用化したことが評価され,パーティクルデザイン賞を受賞することができた。連続生産には様々なメリットがあると言われており,エーザイがこれら2製品の開発を進める中で実感できた点が幾つかあった。本発表では,連続生産技術実用化の事例としてエーザイのこれまでの取組みを振り返り,実用化の鍵となった点と次世代製品に向けての取組みについて紹介する。
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略歴
2006年 岐阜薬科大学 博士前期課程修了(竹内洋文教授)
2006年 エーザイ㈱製剤研究部入社 一貫して固形製剤の製剤設計に従事
2018年 主幹研究員
2019年 タズベリク錠及びタスフィゴ錠の製剤開発チームのリーダーとして連続生産技術製品の製剤開発を主導
2021年 内資系企業初の連続生産技術適用製剤であるタズベリク錠 国内承認
2022年 日本薬剤学会 旭化成創剤開発技術賞
2024年 連続生産技術適用製剤であるタスフィゴ錠 国内承認
2025年 新製剤技術とエンジニアリング振興基金 パーティクルデザイン賞
14:50~15:10
Coffee Break (20 分)
15:10~15:50 <座長> 長谷川 晋(第一三共株式会社)
『連続ロータリー式打錠プロセスにおけるその場評価と打錠障害予測手法の開発』

大崎 修司
大阪公立大学 大学院工学研究科 准教授
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アブストラクト
これまでに,壁面応力の解析を通じた打錠プロセスの理解に向けた検討を進めてきた。そのなかで,ロータリー式打錠機における壁面応力の連続測定と除荷後における壁面応力を評価することで,打錠障害(キャッピング)の予測手法を開発した。さらに,高速打錠プロセスを定量的に評価可能な数値解析モデルを用いた高速圧縮時におけるキャッピング予測手法も提案している。本講演では,打錠プロセスに関する各解析手法について紹介する。
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略歴
2012年3月 京都大学 工学部 工業化学科 卒業
2014年3月 京都大学 大学院工学研究科 化学工学専攻 修士課程 修了
2017年3月 京都大学 大学院工学研究科 化学工学専攻 博士後期課程 修了 博士(工学)の学位取得2015年~2017年 日本学術振興会 特別研究員(DC2)
2017年~2022年 大阪府立大学 大学院工学研究科 化学工学分野 助教
2022年~現在 大阪公立大学 大学院工学研究科 化学工学分野 准教授
15:50~16:30 <座長> 長谷川 晋(第一三共株式会社)
『ISPE FOYA Award 2024』

Peter Kelleher
Principal Process Engineer, Peptides Process Engineering, Eli Lilly Kinsale Limited
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アブストラクト
アイルランドのイーライリリー社キンセール製造拠点にあるIE2b棟は、2024年ISPE Facility of the Year Awards(FOYA)において、最優秀賞を受賞した。同建物は、統合型連続プロセスおよびナノ濾過技術を備えた、世界初のハイブリッド製造プラットフォームとして、その革新性が評価され、当初はイノベーション部門の受賞者として認められた。このプラットフォームは、商業規模での次世代ペプチド製造の方向性を示すものである。
IE2b棟は、プロセス分析技術、リアルタイム解析、デジタルトラッキングモデルといった最先端技術を活用することで、オペレーショナルエクセレンスを実現し、製造およびバッチ出荷の効率化を支援し、命を救う医薬品を必要とする患者に確実に届けることを可能にしている。
本発表では、これまでのどのペプチド製造プラットフォームよりも大規模な商業生産を可能とし、複雑なペプチド治療薬の製造を実現するための、建物設計やプロセス、制御戦略の重要なポイントについて解説する。
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略歴
2017年にアイルランドのユニバーシティ・カレッジ・コークでプロセス・化学工学を専攻し卒業。イーライリリー・キンセールにおいて、小分子およびペプチドのAPI製造を含む複数の分野で従事。主にペプチドの連続製造プラットフォームに携わり、プロセスオートメーションエンジニアとしてプロセス制御ソフトウェアの設計・開発を担当。その後、スケールアップNPIプロセスエンジニアとして、施設設計や製造プロセス制御戦略の開発に従事。現在は、タクトタイム短縮プロジェクトやプロセス改善に取り組んでいる。