開催要項
名称 | 第20回技術講演会 |
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開催日時 |
2023年7月12日(水) 【講演会】9:20~17:10(受付開始 8:30~) 【交流会】17:40~19:40 2023年7月13日(木) 【講演会】9:30~17:00(受付開始 9:00~) |
主催 | 新製剤技術とエンジニアリングを考える会 |
会場 |
会場:品川インターシティ ホール棟 1階 ホール 〒108-0075 東京都港区港南2-15-4 https://sic-hall.com/ |
協賛 |
(公社)日本薬学会 (公社)日本薬剤学会 (一社)日本粉体工業技術協会 (一社)粉体工学会 日本DDS学会 (一社)製剤機械技術学会 ISPE日本本部 (一社)日本PDA製薬学会 |
ご挨拶
共存へのステージに移りつつあるものの我々の生活や経済活動にも甚大な影響を与えたパンデミックを経て、また、高まる地政学的緊張下にある現代社会では、いかに「想定外」を察知、対応できるかが問われています。我々医薬産業でも、世界ネットワークの著しい変化と共に従来からの創薬、工業化だけでなく様々な形態の新技術開発のスピードが日に日に加速しています。
この新たな時代への入り口にある今、「新製剤とエンジニアリングを考える会」では、国内外の演者による14演題で「第20回記念技術講演会」を対面形式で開催いたします。
当会の取組みを振り返る20回記念講演での開会から、FDAおよびPMDAによる行政・規制の考えと方向性に関する講演に加え、医療産業が様々な問題・課題を抱える現状を踏まえ、今回は産・官・学による我が国の医療産業の将来についてのパネルディスカッションを企画しています。ファイザー、武田薬品工業をはじめ国内外のグローバル医薬企業からは連続生産や、新たなモダリティ、製剤開発、それらの工業化に向けた次世代工場の姿について、また、わが国の医薬産業で現在大きな注目を集め、重要な役割と過渡期を迎えるジェネリック医薬品についても、それをリードする二社からのご講演をいただきます。久々に開催の交流会も含め、皆様と医薬品産業の将来を考える二日間とさせていただきたいと思います。
また、「(一財)新製剤技術とエンジニアリング振興基金」による、「パーティクルデザイン賞受賞講演」「海外留学研究助成金目録贈呈式」、さらに若手研究者育成事業として若手研究者の本講演会への招待とポスター発表も行い、交流の多角化、一層の促進を図っていきたいと思います。
皆様の多数のご参加をお願い申しあげます。
なお、COVID-19の今後の状況により、プログラムや交流会を含めた運営方法の変更等をさせていただく場合もあります。本会Webサイトやメール等で最新情報をお伝えしてまいりますので、ご理解ご協力をいただけますようお願いいたします。
主催『新製剤技術とエンジニアリングを考える会』 会長 竹内 洋文
共催 株式会社パウレック 代表取締役社長 夏山 晋
プログラム
2023年7月12日(水)
09:20~10:00 <座長> 寺田 勝英(高崎健康福祉大学)
『開会の挨拶と第20回目を記念して』
新製剤技術とエンジニアリングを考える会 会長
竹内 洋文
(岐阜薬科大学)
1979年 京都大学薬学部卒(薬剤師)
1984年 京都大学大学院薬学研究科 博士課程修了(薬学博士)
同年 岐阜薬科大学 製剤学教室助手、講師、助教授 を経て、
2005年 同 大学教授(製剤学研究室)
2008年-2015年 製造薬学科長、薬学研究科長、学生部長、副学長を併任
2019年3月定年退官、
2019年4月-現在 同大学 名誉教授、先進製薬プロセス工学研究室(寄付講座)特任教授
学会等:
日本薬剤学会では、第31年会長・第23代会長(2018-19)、粉体工学会では、副会長、参与を務める。現在は、製剤と粒子設計部会長、粉体工業技術協会・粒子加工技術分科会コーディネータ、製剤機械技術学会理事、DDS学会評議員、NPTE振興基金専務理事、また、2018年よりは連続生産の実現・推進を考える会、2021年より新製剤技術とエンジニアリングを考える会の会長を務める。
受賞等:
1994年 日本薬剤学会旭化成製剤学奨励賞
1996年 IP学術奨励賞(粉体工学情報センター)
2003年 日本薬学会学術振興賞
2008年 DDS学会永井賞受賞
2013年 ホソカワ粉体工学振興財団 KONA賞
2019年 岐阜新聞大賞(学術賞)
2022年 日本粉体工業技術協会 技術賞
2023年 日本薬剤学会 学会賞
主要研究テーマ:
ドラッグデリバリーのための微粒子設計、固形製剤設計のための粉体特性制御、プロセス設計
10:00~10:50 <座長> 竹内 洋文(岐阜薬科大学)
『ICH M4Q(R2): 薬事申請のモダナイゼーションの機会
ICH M4Q(R2): Opportunity for Modernization of Regulatory Submission』
Lawrence Yu
(Director, Office of new Drug Products, Food and Drug Administration)
2002年のコモン・テクニカル・ドキュメント(Common Technical Document :CTD)のICH M4Q(R1)ガイドラインにより、ヒト用医薬品を登録するための品質情報のフォーマットが統一され、製薬業界や規制当局、患者に多大な恩恵がもたらされた。現在、M4Q(R1)は、登録やライフサイクルマネジメントのさらなる効率化、デジタル技術の活用、患者の医薬品へのアクセス向上のため改定時期を迎えている。本講演ではM4Q(R1)ガイドライン改定に向けて現在継続中のICHの取り組みを説明する。
Lawrence X. Yu, Ph.Dは、食品医薬品局新薬剤室(Office of New Drug Products, Food and Drug Administration)のディレクターであり、ICH M4Q(R2)専門家作業部会の担当報告者である。Dr. YuはFDAでの生物薬剤学分類システムの導入、薬品のクォリティ・バイ・デザイン(QbD)の解説、FDAの最新のレビューシステムである統合品質評価(Integrated Quality Assessment:IQA)の運用開始、レビューおよび検査を盛り込むための業務協定についてのFDAの履歴を踏まえたコンセプトの策定、ならびに知識支援型評価・構造化したアプリケーション(Knowledge-aided Assessment and Structured Applications:KASA)イニシアティブの発足に従事した。Dr. Yuはミシガン大学の非常勤教授でもある。彼のコンパートメント吸収・移動(CAT)モデルは、医薬品業界で現在広く用いられている市販のソフトウエア、GastroPLUSTMやSimcyp®の基礎を築いた。米国薬科科学会議(the American Association of Pharmaceutical Scientists:AAPS)のフェローであり、元分科会長であり、AAPSジャーナルの共同編集者でもある。150件以上の論文を執筆または共同執筆しており、400回以上の招待講演を行っている。書籍については「薬剤開発における生物医薬品の申請(Biopharmaceutics Applications in Drug Development)、「FDAの生物学的等価性基準(FDA Bioequivalence Standards)、「経口固形製剤の開発:理論調剤学と実践第2版(Developing Solid Oral Dosage Forms: Pharmaceutical Theory and Practice, 2nd Ed.)の共同編集者でもある。
10:50~11:10
Coffee Break (20分)
11:10~12:00 <座長> 福田 誠人(スペラファーマ株式会社)
『溶融押出堆積 (MED®) 3Dプリンティング:医薬品製造に適用するためのエマージングテクノロジー
Melt Extrusion Deposition (MED®) 3D Printing: An Emerging Technology for Pharmaceutical Applications』
Haihong (Judy) Zhu
(VP, Portfolio and Project management)
※諸事情により講演発表者が変更となりました。
今回の講演では刷新的な新規3Dプリント技術である溶融押出堆積 (MEDTM)を紹介する。これは粉末原料を軟化または溶融状態に変換し、その後精密な交互積層により堆積させることで内部に望ましい幾何学的構造を有する目的物を作成するもので、Triastek社によって開発された。MED 3D、機器の特性および製造能力の実用原則について、同社の固形製剤開発にからめて検討する。Triastek社は高度な処理能力およびGMP遵守製造システムを開発することにより、MED技術を大量生産に導入してきた。MED 3Dの薬事規制についても、Triastek社がどのようにFDAのエマージング・テクノロジー・プログラムに参加したかを説明することで検討する。
Haihong (Judy) Zhu氏は、中国薬科大学で薬学を専攻し薬剤師免許を取得した。アストラゼネカ、ファイザー、エベレスト製薬、Jixing、I-Mabなど、製薬業界で28年間の実務経験があり、医薬品開発プロジェクトマネジメント、商業化プロジェクトマネジメントなどを含む多くのプロジェクトに従事した。現在は、Triastekのポートフォリオおよびプロジェクトマネジメント担当バイスプレジデントであり、またTriastekのグローバルポートフォリオ計画およびプロジェクトマネジメントの責任者でもある。
12:00~13:00
Lunch Time (60分)
13:00~13:20
一般財団法人 新製剤技術とエンジニアリング振興基金
「パーティクルデザイン賞」授賞式 および
「海外留学研究助成金」目録贈呈式
13:20~14:10 <座長> 砂田 久一(名城大学)
一般財団法人 新製剤技術とエンジニアリング振興基金
第10回パーティクルデザイン賞 受賞講演
『ナノ粒子を用いた核酸医薬の標的指向化技術の開発に関する研究』
川上 茂
(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医薬品情報学分野 教授)
近年、核酸医薬の進歩や近年の実用化と共に、脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticle: LNP)やエクソソームを含む細胞外小胞などの脂質膜を有するナノ粒子製剤が創薬において重要になっている。核酸医薬の適用可能性を大きく広げるナノ粒子製剤の標的指向化技術の開発においては、リガンド修飾脂質などの機能性分子修飾材料の開発だけでなく、組織内の送達細胞空間分布評価やナノ粒子製剤の品質確保ならびにその製造技術に関する研究も重要となる。本講演では、講演者が取り組んできた、ナノ粒子を用いた核酸医薬の標的指向化に関する研究成果を紹介する。
学歴・職歴:1999.9. 京都大学大学院薬学研究科・博士後期課程中退(長崎大学助手採用のため)、1999.10. 長崎大学薬学部・助手、2002.4. 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・助手(改組のため)、2002.10. 京都大学大学院薬学研究科・助手/助教、2009.6. 京都大学大学院薬学研究科・講師、2013.4. 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・教授、長崎大学薬学部・教授、2021.4. 長崎大学薬学部・副学部長、現在に至る。
主な受賞:日本薬物動態学会奨励賞(2006)、日本薬学会奨励賞(2008)、DMPK Award for the Most Frequently Cited Review Article in 2007 (1st place), Drug Metabolism and Pharmacokinetics (DMPK) (2011)、日本薬剤学会奨励賞(2012)
主な学術活動:Journal of Pharmaceutical Sciences, Scientific Advisor、日本薬剤学会・代議員, 日本薬剤学会・超分子薬剤学フォーカスグループリーダー、日本薬物動態学会・代議員, 日本薬物動態学会・ディレクターズ・イニシアティブ・セッション(DIS)(DDS部門)世話人(副代表)、日本核酸医薬学会・評議員, デリバリー(DDS)幹事、日本DDS学会・評議員, 日本DDS学会・第39回日本DDS学会学術集会プログラム委員、日本薬学会・代議員、遺伝子・デリバリー研究会・監査役、遺伝子・デリバリー研究会・第20回夏期セミナーオーガナイザーなど
14:10~15:00 <座長> 福田 誠人(スペラファーマ株式会社)
『ジェネリック医薬品の安定供給を支える研究開発体制を目指して』
横田 祥士
(沢井製薬株式会社 研究開発本部 取締役 常務執行役員 研究開発本部長)
ジェネリック医薬品(GE)はもはや社会インフラとなりつつあるが、品質・安定供給には課題が指摘されている。信頼されるGE医薬品を安定的に供給し続け、医療の質向上に貢献するため、沢井製薬独自のコア技術を活用した開発事例を紹介しつつ、製造性、有効性、品質、付加価値のバランスを考慮したGE研究開発体制の重要性と今後の展望について報告する。
1982年、東京大学薬学部卒,同年山之内製薬㈱入社,製剤研究に従事.
2005年、藤沢薬品工業との合併に伴い、アステラス製薬の米国子会社(Astellas Pharma US)に出向し、米国CMC開発部門の責任者を務める.
2009年、アステラス製薬帰任後、製剤研究所長、技術推進部長(技術本部・執行役員)を経て,2016年、沢井製薬入社.
2018 年6 月より研究開発本部長として、独自製剤技術開発, 知財戦略を駆使したジェネリック医薬品の創出に従事.
薬剤師.博士(薬学)(静岡県立大学)
15:00~15:20
Coffee Break(20 分)
15:20~16:10 <座長> 野沢 健児 (沢井製薬株式会社)
『経口固形製剤の開発促進の見通し
A vision for accelerating Oral Solid Dosage Drug Product development』
Robert Yule
(Head of US Engineering and Modeling CMC Synthetics, Sanofi)
材料科学およびシミュレーションを用いた経口固形製剤開発促進の見通しについて話す。この取り組みは次を目的としている。
- 現在の商品構成上のニーズに応える。
- 製造プラットフォームの将来の簡略化を可能にする。
- 開発初期に作業を前倒しする機会がないか探求する。
講演の初めにサノフィ社のデジタル開発の現状について説明する。締めくくりは同社においてモデリングや材料科学を向上させるための短期・長期の見通しについて概要を説明する。デジタル開発を実施する潜在的なメリットについても予測する。
Bob Yuleはサノフィ社の「ケンブリッジクロッシング」の新規米国エンジニアリング・モデリンググループのリーダーである。Yuleは40年の経験を有する化学工学者である。デュポン社の製造部門でキャリアをスタートし早期に研究開発部門に異動した。デュポン社を始めとし、メルク、BMS、アボット、GSKの各社においてプロセス技術グループの構築で主導的な役割を担った。サノフィ社に入社する前は、GSK社で「グローバル初期開発」モデリンググループを率い、「原薬・医薬品」のプロセス・製品の開発に取り組んだ。産官学出資の共同プロジェクトでは外部と提携し、シミュレーションやインダストリー4.0(デジタルデザイン)も推進している。シミュレーションを用いたプロセスの開発や理解の促進に熱意を注いでいる。彼の活動には材料の効率的節約ワークフローやデータ集約型ワークフローを包括的なデータインフラに統合することも含まれる。
16:10~17:10
パネルディスカッション
『社会危機を経た我が国医薬産業の次世代への道標
~医療現場ニーズと製剤技術シーズの融合~』
<司会進行>
米持 悦生
(司会進行/星薬科大学 薬学部教授)
<パネリスト>
城 克文
(厚生労働省 医薬・生活衛生局長)
昭和40年6月14日生 大阪府出身 東京大学法学部卒
職歴
平元.4 厚生省 採用
元. 5 厚生省保険局保険課
2. 7 厚生省保険局医療課
4. 4 今治市総務調整部企画調整課事務主幹
6. 4 厚生省児童家庭局児童手当課
6. 7 厚生省児童家庭局育成環境課
7. 7 厚生省大臣官房総務課
8. 7 林野庁林政部木材流通課課長補佐
10. 7 厚生省医薬安全局血液対策課課長補佐
11. 8 社会保険庁運営部企画・年金管理課課長補佐
12. 4 三重県健康福祉部健康対策課長
15. 4 厚生労働省保険局医療課長補佐
16. 7 厚生労働省大臣官房会計課長補佐
17. 7 厚生労働省政策企画官
19. 9 内閣府沖縄振興局総務課事業振興室長
21. 7 厚生労働省保険局総務課医療費適正化対策推進室長
23. 7 内閣府参事官(社会システム担当)(政策統括官(経済社会システム担当)付)
25. 7 厚生労働省医政局経済課長
27.10 厚生労働省保険局医療介護連携政策課長
28. 6 厚生労働省保険局総務課長
29. 7 社会保険診療報酬支払基金審議役(企画関係担当)
令元. 7 内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)
(併:内閣府本府日本医療研究開発機構・医療情報基盤担当室次長)
(命:内閣官房健康・医療戦略室次長)
2. 8 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 理事
4. 7 厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官
<パネリスト>
長井 彩加
(I&H株式会社 阪神調剤薬局 箕谷店 店長)
2015年 4月 阪神調剤薬局入社 白川台店配属
2016年11月 阪神調剤薬局 箕谷店へ異動
2018年10月 箕谷店にて店長・管理薬剤師就任
現在に至る
<パネリスト>
野沢 健児
(沢井製薬株式会社 製剤研究部 部長)
1996 年 3月: 静岡県立大学薬学研究科修士課程修了
1996年 4月: 三笠製薬株式会社 入社。研究開発部所属。経皮吸収製剤の開発に従事
2000年 2月: 沢井製薬株式会社 入社。製剤研究部所属。経口固形製剤の開発に従事
2015年 : 第3回パーティクルデザイン賞受賞
2016年 10月: 静岡県立大学大学 創剤工学研究室 博士(薬学)取得
薬剤師、日本薬剤学会認定製剤技師
<パネリスト>
池松 康之
(エーザイ株式会社 CMCレギュラトリー部 部長)
1991年エーザイ入社。2015年3月まで製剤研究に従事(固形剤、注射剤およびバイオ製剤)。複数の新薬開発を担当しグローバル上市を達成。また、複数テーマのグローバルCMCチームリーダーも兼務。この間、口腔内崩壊錠の製剤研究にて静岡県立大学より薬学博士号を取得。
2015年4月より本社グローバル品質保証部門にて、GQP業務に加え、グローバルプロジェクトの推進責任者を従事。尚、2016年4月より2年間に渡り、製薬協 GMP部会 部会長および日薬連 品質委員会 副委員長を兼務。また、厚生労働科学研究(厚労科研)として、GDPプロジェクトおよび連続生産プロジェクト等に業界代表として参画。
2019年4月より、グローバル新薬開発に係るCMC薬事対応の統轄責任者(グローバルヘッド)に加え、日米欧・中国・アジアなどの既承認品のCMC薬事対応の統轄責任者として従事。現在に至る。
17:40~19:40
交流会
2023年7月13日(木)
09:30~10:20 <座長> 池松 康之(エーザイ株式会社)
『武田薬品の細胞治療薬製造 –アロフィセルの製造・供給へのタケダの革新的アプローチを深掘りする
Cell Therapy Manufacturing at Takeda – a deep dive into Takeda’s innovative approach to manufacturing & supply of Alofisel』
Alan G. Kelly
(Head of Alofisel Manufacturing, GMS Biologics, Global Manufacturing and Supply, Takeda Pharmaceuticals Inc.)
細胞治療薬が製薬業界のサプライチェーンにもたらす可能性がある課題を克服するために、武田薬品がデジタルや他の革新的なソリューションをどのように用いているか、ケーススタディーを用いて説明する。72時間の製品寿命という条件下で、武田薬品はサプライチェーンの革新的なソリューションにより、様々な地域の患者が必要な治療を受けられるようにしてきた。同社がこの目的のためにどのようにして細胞治療薬製造ネットワークを形成してきたか、そしてどのようにデジタル技術を用いて細胞治療薬の製造や供給に卓越性をもたらしているかを説明する。
Alan Kellyは武田薬品の副社長であり、ヨーロッパ、日本、米国に所在する同社の細胞療法拠点の全ネットワークのアロフィセル製造部門を率いている。その前は同社のワクチン工学の責任者としてワクチン設備投資ポートフォリオを担当した。Kellyは、アイルランドの、ブレイおよびグレンジ・キャッスルの武田薬品のプラントで経験を積み、2016年には、チューリッヒに移り、武田薬品のグローバル製造・供給機構(Global Manufacturing and Supply Organization)でオペレーショナル・エクセレンス部門のグローバルリーダーを務めた。オペレーショナル・エクセレンス部門を率いた期間、AGILEトランスフォーメーションプログラムを立ち上げ、2016年の発足に尽力した。20年以上にわたり医薬品製造業務について様々な地域で様々な技術を経験してきた。Kellyはリーンシックスシグマ・マスターブラックベルトの認定を受けた生化学者である。
10:20~11:10 <座長> 池松 康之(エーザイ株式会社)
『品質問題事案を受けた行政の取組みについて』
江野 英夫
(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 医薬品品質管理部 部長)
医薬品製造施設におけるGMP省令違反の発生により、我が国の医薬品の品質に対する懸念や医薬品の安定供給に大きな影響を及ぼしている。厚生労働省における取組みに加え、製造・品質管理の徹底に係る医薬品製造施設とのコミュニケーション強化を通じたPMDAの取組みを紹介する。
平成6年 厚生省(当時)入省
令和元年7月~ 厚生労働省 医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課 監視指導室長
令和3年9月~ 医薬品医療機器総合機構 医薬品品質管理部長 (現職)
11:10~11:30
Coffee Break (20 分)
11:30~12:20 <座長> 野沢 健児 (沢井製薬株式会社)
『医薬品工場のさらなるスマート化 ~ 産業間比較から考えた特徴と課題』
佐藤 知一
(日揮ホールディングス株式会社 グループ経営企画・推進部 チーフエンジニア(ビジネス・アナリスト))
医薬品工場は自動化・情報化の面で、通常の組立加工系工場よりも、スマート度が高い。ただし多品種化や需要変動への対応など、計画系機能では課題も見受けられる。工場全体のスマートさをどう実現するのか、直近のMES実態調査を参考に検討する。
1982: 日揮(株)に入社。以来、製造業及びエネルギー産業向けに、工場および生産系ITシステムづくりに従事。
2009: プロジェクト・マネジメント技術部 担当部長
2018: DIプランニング部 部長
2020: グループ経営企画部 チーフ・エンジニア(Business Analyst)
2010~: 東京大学大学院 非常勤講師
2016~: 静岡大学大学院 客員教授
2019~: 筑波大学 教授(グローバル教育院)
博士(工学)、中小企業診断士、(財)エンジ協会・次世代スマート工場研究会幹事
著書:「世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書」 (技術評論社, 2016)、「時間管理術」 (日経文庫, 2006)、「BOM/部品表入門」(共著, 日本能率協会MGTセンター, 2005)他
12:20~13:20
Lunch Time (60分)
13:20~14:10 <座長> 無敵 幸二(Pfizer Global Supply Japan)
『医薬品連続プロセスの開発と運用のためのコンピュータ支援
プロセス工学
Computer Aided Process Engineering for Development and Operation of Continuous Processes of Pharmaceutical Products』
Salvador Garcia-Munoz
( Executive Director, Synthetic Molecule Design and Development, Eli Lilly and Company)
プロセスシステム工学の分野ではプロセス設計、モニタリング、トラブルシューティングおよび制御に役立つツールや技術が数多く開発されている。こうしたツールは主にエネルギー分野や石油化学分野で発生する課題が原動力となって開発されたが、これらの大半はそのまま医薬品連続製造に適用することができる。この講演では、新薬の製造プロセス開発、スケールアップ、技術移転および運用上の意思決定へのサポートに適用されるモデルベースのソリューションについて検討する。プロセス開発ワークフローにおけるハイブリッドモデルの使用や最適化に関する取り組み事例も紹介する。
Dr. García Muñozはモンテレイ工科大学(メキシコ)より化学とコンピュータ・システム工学の学士号および修士号を、マックマスター大学(カナダ)より博士号を取得した。博士号取得に先立つ4年間、アスペンテク社で就労し、取得後はファイザー社に入社、そこでモデリングとシミュレーションのエキスパートとして9年を過ごした。2013年にイーライリリー社に入社し、現在はエンジニアリング担当エグゼクティブディレクターとして、新薬開発に向けた最先端のモデリングとデータ分析をサポートしている。インペリアル・カレッジ・ロンドンの客員教授、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの名誉教授およびカーネギー・メロン大学の非常勤教授を務めている。
14:10~15:00 <座長> 無敵 幸二(Pfizer Global Supply Japan)
『ソフトセンサーによる流動層造粒のリアルタイム監視とプロセス管理』
栁沼 啓太
(第一三共株式会社 製薬技術本部 製剤技術研究所 固形剤研究第一グループ
専門研究員)
代表的なPATツールであるNIRSは高精度に物質特性を推定できる一方、高額な計測装置の導入が必要であり、開発費用が限られる少量生産製品等に適用しにくい。本研究では、固形製剤の汎用製法である流動層造粒を対象に、製造機器の入出力データに基づく工程監視技術を開発した。本講演では、同技術のスケールアップ及び商用生産への適用を想定したケーススタディを紹介する。
2014年 東京理科大学大学院 薬学研究科 薬科学専攻 修士課程修了後、第一三共株式会社に入社。現在まで一貫して、製剤技術研究所にて固形製剤(新薬及びLCM製品)の処方製法設計や工業化研究、申請業務に従事。併せて、機械学習やプロセスシステム工学、シミュレーションを活用したデジタル研究推進業務を担当。2019年 京都大学大学院 情報学研究科 システム科学専攻 博士後期課程に入学し、2022年に博士(情報学)の学位を取得。2023年より1年間、ベルギーのGhent Universityに客員研究員として在籍予定。
15:00~15:10
Coffee Break (10分)
15:10~16:00 <座長> 柳井 薫雄(武田薬品工業株式会社)
『ジェネリック医薬品の未来展望と経営戦略~新たなステージでのビジネスモデル~』
中村 豪之
(東和薬品株式会社 経営戦略本部 副本部長)
国策として進められてきたジェネリック医薬品使用促進の普及は達成し、その役割は「医療費適正化を進めるため」の数量シェアを引き上げる時代から、新たなステージとして強固な安定供給体制及びサプライチェーンの強靭化の時代へと転換する必要がある。社会インフラとしての産業基盤であるジェネリック医薬品において、世の中に広く行き渡せ続けるために、持続可能な体制づくりが求められる。本講演では、自社としてやるべき戦略、あるいは業界の個社ごとにできること、行政に要望するべきことを経営視点に技術視点も加えて考えたい。
2000年 立命館大学大学院 理工学研究科 博士前期課程修了
東和薬品株式会社入社 研究開発本部 製剤研究部
2004年 同 生産本部 岡山工場 製剤技術室
2007年 同 研究開発本部 工業化研究部を経た後、製剤研究部
2012年 同 製剤技術本部 製剤企画部
2015年 静岡県立大学大学院 薬学研究科 博士後期課程修了(薬科学博士)
2020年 東和薬品株式会社 経営戦略本部 経営戦略部長
公益社団法人 日本薬剤学会 専門委員
2022年 三生医薬株式会社 取締役 兼務
東和薬品株式会社 経営戦略本部 副本部長 現在に至る
16:00~16:50 <座長> 柳井 薫雄(武田薬品工業株式会社)
『開発可能性分類体系(DCS)― 製剤設計開発戦略への応用
The Developability Classification System (DCS) –
Application to Formulation Development Strategies』
James M. Butler
(Senior Fellow, Biopharmaceutics, Medicines Product Development, GlaxoSmithKline (GSK))
現代の創薬パイプラインにおける多くのリード化合物は親油性で水に溶解しにくく、可溶性または溶解性が限定された状態で吸収される。開発可能性分類体系(DCS)は、10年以上前に発表されて以来、新しい経口薬物候補の開発可能性を評価する際の重要なツールであり、ヒト用製剤設計の成功に向けた戦略を迅速かつより容易に定義することが実証されてきた。この講演では、現代の薬学者たちが経口製剤の選択を可能にするためにどのようにDCSを適用することができるかを、例を挙げながら説明する。
James ButlerはGSK社のバイオ医薬品グループで医薬品開発に従事するシニアGSKフェローである。
1988年にノッティンガム・トレント大学より応用化学の学士号を、1991年にキングス・カレッジ・ロンドンより製剤工学の修士号を、2012年にフランクフルトのヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学より博士号を取得した。1993年以降は現在の勤務先において、初期製剤開発や開発可能性などに関連する様々な職務に就き、予測ツールの開発にも従事した。現在の職務では、医薬品の経口薬物吸収、生物学的同等性、生体関連溶解およびヒト消化管での挙動について、開発のあらゆる段階でプロジェクトチームに助言している。経口薬物吸収とその予測、開発可能性評価、経口薬物送達、難溶性薬物製剤設計、生体関連溶解に関して50を超える論文や分担著を発表している。経口薬物吸収のあらゆる様相をより深く理解するため、IMI OrBiTo(経口生物薬剤ツール)等広範囲にわたる外部産学共同研究に取り組んでいる。